ご挨拶

会長ご挨拶

会長 瀬戸 欣哉

日頃は当協会に多大なるご指導、ご支援をいただきまして、厚く御礼申し上げます。

昨年度を振り返りますと、国内住宅市場については、リフォーム市場は堅調であり、需要の下支えとなったものの、新設住宅着工戸数は低水準で推移しました。年度末には駆け込み需要等が見られましたが、本年度の動向は不透明ではないかと考えられます。

昨今、持続可能な経済社会の構築に向けて、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミー等が国際的な潮流となっており、政策面においても、本年2月に「GX2040ビジョン」、「エネルギー基本計画」、「地球温暖化対策計画」が閣議決定され、「脱炭素」、「エネルギー安定供給確保」、「経済成長」の同時実現に向けた中長期的な政策の方向性が示されました。建材・住宅設備業界としても、住宅・建築物の脱炭素化等に寄与する事業活動が求められるとともに、こうした課題への対応を、企業の競争力の向上、業界の発展につなげていくことが重要であります。

また、高水準の原材料・エネルギー価格に起因するコスト高や人材不足等の課題への対応のためには、DXへの取組や物流の効率化、価格転嫁・取引適正化などの住宅・建築物のサプライチェーン全体での取組の促進が必要であります。

こうした観点から、本年度、当協会は、次のような取組を進めてまいります。

一つ目は、業界におけるGXの推進であります。現在、政府等において、建築物のライフサイクルカーボン削減に向けた制度化や課題解決の検討が進められていますが、当協会としては、建材・設備関係の工業会や企業によるEPD等への取組が円滑に進むように、「建材EPD検討会議」を通じて後押しをしてまいります。また、住宅の脱炭素化に向けて、ZEHや断熱リフォームの普及を図ってまいります。

二つ目は、業界のDXの推進であります。建築BIMについて、メーカー業界の立場から国の取組に対して提案・協議を実施してまいります。また、IoT住宅の普及を図るため、本年度から機能安全に関するJISの開発・普及に取り組みます。

三つ目は、住宅・建築物のサプライチェーンにかかわる課題への対応です。建材・設備物流の効率化・適正化を図るため、商慣習見直しや共同輸配送の促進に取り組んでまいります。また、価格転嫁や適正取引を促進するため、会員企業への普及啓発とともに、サプライチェーン全体で取組が浸透するように、行政による取組の推進を働きかけてまいります。

四つ目は、海外展開の促進やリフォーム市場の活性化であります。このために、グリーン建材・設備に関する国際標準化事業や、リフォームに関する政策要望や制度検討などに取り組んでまいります。

また、これらの取組に加え、環境負荷の少ない建材の普及や、建材・住宅設備のデジタルカタログ検索サイト「カタラボ」の運営などに引き続き取り組んでまいります。

さらに、本年度は、こうした取組も含め、中期的な事業運営の方針を検討し中期計画としてとりまとめたいと考えております。

当協会は、関係業界との連携のもと、オール建材・住宅設備業界の体制で業界の発展を目指した活動を進める所存でありますので、関係各位のご指導、ご鞭撻をお願い申し上げます。

一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会
会長 瀬戸 欣哉